デザイン思考ワークショップガイド

サービス開発チーム向け 共感から顧客課題を定義するワークショップ手順

Tags: デザイン思考, ワークショップ, 課題定義, サービス開発, POV

はじめに

サービス開発において、「本当に解決すべき顧客課題は何なのか」を明確にすることは、手戻りを防ぎ、より価値の高いプロダクトやサービスを生み出すために不可欠です。共感フェーズでユーザーへの理解を深めたとしても、得られた情報(インサイト)をそのままにしていると、次に行うアイデア創出の方向性が定まらなかったり、表層的な問題解決に終始してしまうことがあります。

本記事では、サービス開発チームが共感フェーズから得た顧客インサイトを活用し、本質的な課題をチームで共有・定義するためのワークショップ手順を解説します。このワークショップを通じて、チーム内で顧客課題に対する共通認識を築き、その後の開発やアイデア創出の質を高めることが期待できます。

課題定義ワークショップの目的と位置づけ

デザイン思考のプロセスにおいて、課題定義フェーズは共感フェーズの後に位置します。共感フェーズで収集・分析した情報(ユーザーの行動、思考、感情、文脈など)から得られたインサイトは、顧客に対する深い理解を示していますが、これらはまだ具体的な「解決すべき課題」の形をしていません。

課題定義ワークショップの主な目的は、これらのインサイトを基に、ユーザーが抱える本質的な課題を明確な言葉で定義することです。これにより、チームは「何を解決すべきか」という問いに対する共通認識を持ち、その後のアイデア創出やプロトタイプ作成の焦点を定めることができます。

課題定義の手法:POV(Point Of View)

課題を定義するための効果的なフレームワークの一つに、POV(Point Of View)があります。POVは、共感フェーズで得られたインサイトを、「(特定のユーザーは)」「〜というニーズを持っている」「なぜなら〜というインサイトがあるからだ」という形式で構造化するものです。

この形式で記述することで、誰が(ユーザー)、何を求めていて(ニーズ)、その背景に何があるのか(インサイト)が明確になります。良いPOVは、解決策を含まず、示唆に富み、その後のアイデア発想を刺激するものです。

共感から課題を定義するワークショップ手順

ここでは、共感フェーズのアウトプットを基に、チームでPOVを定義するワークショップの具体的な手順を追って解説します。

1. ワークショップの準備

2. ワークショップの導入 (15-20分)

3. インサイトの分解とグルーピング (30-40分)

4. POV定義の構造理解と記述演習 (15-20分)

5. POVの記述(個人ワーク+チームシェア) (40-60分)

6. 記述したPOVの評価と絞り込み (30-40分)

7. まとめと次のアクションの確認 (10-15分)

ツール活用例

実践的なヒントと成功/失敗事例からの学び

まとめ

共感から顧客課題を明確に定義するワークショップは、サービス開発チームが顧客の本質的な課題に焦点を当て、手戻りを減らし、より良いソリューションを生み出すための重要なステップです。本記事で紹介した手順やヒントを参考に、ぜひチームで実践してみてください。共感フェーズで得られたインサイトを「解決すべき課題」という具体的な形に落とし込むことで、その後のアイデア創出がより的確で効果的なものになるはずです。