デザイン思考ワークショップガイド

サービス開発チーム向け 定義した顧客課題から効果的なアイデアを生み出すワークショップ手順

Tags: デザイン思考, アイデア創出, ワークショップ, 顧客課題, サービス開発

デザイン思考において、顧客への共感や課題定義のフェーズを経て「私たちはどのようにすれば〇〇(顧客課題)を解決できるか?」という問い(HMW: How Might We)を設定した後、いよいよアイデア創出のフェーズに進みます。この段階で、定義した顧客課題に根差した、実行可能かつ顧客に価値をもたらすアイデアをチームで効率的に生み出すためのワークショップは非常に重要です。

本記事では、サービス開発チームがすでに定義済みの顧客課題やインサイトを基に、発想を広げ、質の高いアイデアをチームで生み出すための具体的なワークショップ手順をご紹介します。アイデアの枯渇や、顧客ニーズからズレたアイデアに悩むチームリーダーにとって、実践的なヒントとなる内容を目指します。

ワークショップの目的と概要

このワークショップの主な目的は、共通認識として定義された顧客課題やインサイトに対し、チームメンバーそれぞれの視点から多様で新しい解決策のアイデアを可能な限り多く生み出すことです。単なる自由な発想ではなく、明確な課題を起点とすることで、アイデアの方向性を定めることができます。

ワークショップの手順

ステップ1:定義済み課題・インサイトの共有と共感の再確認(15-30分)

ワークショップの冒頭で、今回のアイデア創出の基盤となる顧客課題やインサイトをチーム全員で共有し、理解を深めます。ここで重要なのは、単に情報を提示するだけでなく、参加者が改めて顧客の状況や感情に「共感」する時間を設けることです。

ステップ2:アイデア発想を促す「HMW(How Might We)」問いの設定(15-20分)

定義された顧客課題やインサイトから、具体的なアイデア発想につながるような問い「私たちはどのようにすれば〇〇できるか?」(HMW)を設定します。この問いが曖昧だと、アイデアも抽象的になりがちです。

ステップ3:アイデア発想(集中発想と共有)(45-60分)

設定したHMW問いに対し、個々人または小グループで集中してアイデアを発想し、可視化します。このフェーズでは、アイデアの質より量を重視し、自由な発想を促します。

ステップ4:アイデアの整理と分類(20-30分)

大量に生み出されたアイデアを、チームで共有し、類似性や関連性に基づいてグループ化します。これにより、アイデアの全体像を把握し、次のステップ(絞り込み)に進みやすくします。

ステップ5:次のステップへの接続(アイデアの選定ディスカッション/投票)(15-20分)

整理・分類されたアイデア群の中から、特に有望と思われるものや、さらに検討する価値のあるアイデアを絞り込みます。

ワークショップを成功させるためのヒント

まとめ

定義された顧客課題から効果的なアイデアを生み出すワークショップは、デザイン思考のプロセスにおいて創造性と課題解決を結びつける重要なステップです。本記事で紹介した手順はあくまで一例であり、チームの状況や課題に応じて柔軟にアレンジすることが可能です。

このワークショップを通じて、チームは顧客視点に立ち返り、単なる思いつきではない、地に足の着いた創造的なアイデアを生み出す力を養うことができます。定期的にこのワークショップを実施することで、サービス開発におけるアイデアの枯渇を防ぎ、顧客価値の高いプロダクト・サービスを生み出すサイクルを構築することが期待できます。

ぜひ、定義済みの顧客課題を携え、チームでアイデア発想ワークショップを実践してみてください。